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2019.6.24 | 人事/バックオフィス

人事評価制度とは?導入時のメリット・デメリットやポイントをご紹介

人事評価制度人的資源管理(HRM)助成金

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1.人事評価制度の役割・目的

事業活動に投入される「ヒト・モノ・カネ」の3つの経営資源のうち、ヒトを管理するのが人的資源管理(HRM)であり、人事評価制度はその人的資源の能力最大発揮のための根幹となる仕組であります。 注)HRM:Human Resource Management

中小企業の経営者にとって、自社の企業特性にフィットした人的資源管理の構築と運用は重要な経営課題と言われています。特に人事評価制度の設計と運用の巧拙により、企業業績が大きく左右されるからです。また、人事評価制度は、経営環境変化(低成長経済・労働需給など)と構造改革や変革に適応できず機能不全となったり、逆に企業成長の足枷になることも少なくありません。

人的資源の潜在能力を100%引き出すことは容易なことではありません。当人に能力を発揮する意欲がなければ最高の成果や業績に繋がりません。同様に、教育や訓練の場を与えても、本人に能力向上の意欲がなければ成長は止まり、やがて陳腐化した能力の人材を抱え込むことになるでしょう。要するに、社員本人が主体的に能力を発揮し、自己成長しようとする意欲にかかっています。

人事評価制度の本質的な役割は、人的資源(ヒト)の効率的活用に向けて、「能力開発と活用の“意欲”」を引き出すマネジメントツールとして機能することにあります。

 

2.人事評価制度の種類

それでは、日本企業の人事評価制度の歴史を辿ってみましょう。

戦後日本の高度経済成長期にあり、日本型経営の三種の神器(「終身雇用」、「年功序列」、「企業内組合」)は、集団管理型体制として画一した社会の中では効率的なシステムでありました。そして、1970年代には能力主義管理の理念の下、職能遂行能力によって社員を格付する「職能資格制度」が導入されました。職能給と年齢給を合わせて賃金を算出する、インセンティブと年功序列・終身雇用を組み合わせた賃金体系であり、バブル経済期まで大企業を中心として日本の賃金体系の主流となっていました。ところが1990年代後半になり、バブル景気の崩壊、グローバル化の進展などにより、右肩上がり・終身雇用が前提の「職能資格制度」は破綻してしまいました。

そこで登場したのが「成果主義的人事評価制度」です。努力や能力など目に見えないものではなく、目に見えるアウトプット(成果)を評価や処遇に反映していくものでした。その先鞭を打ったのは米国生まれのMBO(Management By Objective)と呼ばれる成果目標管理制度でした。予め上司と部下の間で成果目標に関する合意を結んでその達成具合で評価するものです。しかし、成果目標管理を導入した多くの企業では社員から不満が噴出し、方向転換を余儀なくされました。短期的な個人業績に絞りすぎた結果、士気の低下や組織の閉塞感など様々な問題が露呈し、制度の見直しを迫られました。

近年の人事評価制度の位置づけは、報酬や選抜の査定中心から、個人の意欲を動機づけるモチベーション重視の考え方が定着しつつあります。人材マネジメントが「集団管理型」から「個人管理型」へシフトしていると言えましょう。低成長しか知らない若者のキャリア志向の減退、ワーク・ライフ・バランス意識の高まりなどを背景に、これまでのように昇給や昇格がインセンティブとして確実に機能する時代ではなくなってきました。更に、業務の複雑化・高度化によって様々な職務の専門性が増したために、専門職のキャリアパスが拡大したことも背景にあるようです。

これまで、成果主義にしても、働き方改革(=残業代カット)も、給料を抑制するに都合のよい仕組みでありました。しかし今、人事評価制度を含めた人事労務管理が大きく変わろうとしています。 “会社が給料を抑制する”時代から“給料を生産性や業績アップのための戦略投資”をする時代へ変わろうとしています。既に先進企業では、社員自らの力で給与を上げて、結果的に企業業績アップに繋げようと試行実験が続いています。

 

3.人事評価制度のメリット・デメリット

1) 職能資格制度

「職能資格制度」のメリットは、ストック型能力(訓練・経験の蓄積)が基本であるため、長期的な能力開発と柔軟な人材配置(転勤や配置転換)に適します。逆にデメリットは、職務遂行能力と言っているが、実際の職務との対応関係が曖昧であることです。そして、能力と貢献の蓄積による序列づけがベースになっているため、その積み上げ方式の運用では人件費抑制に限界がありました。

2) 成果主義的人事評価制度

「成果主義的人事評価制度」の代表格である目標管理制度は、企業・組織目標と個人目標のベクトルを一致させることで、社員一人ひとりが目標に向かって自主的に動けるメリットがありました。一方、デメリットは、評価と処遇が短期的な個人の業績にスポットが当たるため、長期間にわたる高い目標に取組む(新規事業開発、業務改革など)活動には不向きであります。

 

4.人事評価制度の作り方

最近では、人事評価制度の構築は、「働き方改革」や「組織・マネジメント改革」、「業務・プロセス改革」と一体化した取組が多くなっているようです。特に、機能部門や階層別の役割・責任権限のあり方を抜本的に見直した上で、適正な人事評価制度の構築を進めています。

また、人事評価制度の構築・運用は、設計1年、試行検証1年と2年程度かかっていましたが、最近では設計半年、試行検証半年、1年後に運用開始が一般的なスケジュール感のようです。特に、ITやクラウドサービスを活用した人事評価システムで運用段階でも改善・アップデートが容易になったことも背景にあるようです。

 

5.人事評価制度を作るときのポイント

〔ポイント1〕能力、情意(態度・姿勢)から“コンピテンシー”へ

職能資格制度の下では、「能力」、「情意」、「成績」の3要素が人事評価対象となっていました。情意とは協調性や責任感、意欲の高さなどの勤務態度や仕事への取組姿勢などで評価されます。どの人事評価制度においても、「能力」、「情意」、「成績」の3要素は欠かせません。成果主義への転換期にはコンピテンシー評価や目標管理制度が取り入れられましたが、評価3要素の枠組み自体は維持されています。コンピテンシーとは高い成果を安定的に生み出す行動(ハイパフォーマ)として顕在化した職務遂行能力のことで、高い成績に繋がる行動が取れているかを観察して評価します。

〔ポイント2〕IT技術を活用した人事評価制度の運用

ITツール、クラウドソーシング、ビッグデータ/AIを活用して、評価基準の適正化や上司と部下の双方向コミュニケーション、人事評価の軌道修正が容易となり評価負担の大幅軽減とスピードアップになり、更に評価基準の質や格段の評価制度の向上が期待されています。

 

6.職種別・雇用形態別人事評価制度のポイント

 

職種別・雇用形態別人事評価制度とは、事業特性、事業戦略、人事管理の方針などを踏まえ、職種区分毎、雇用形態毎に評価・処遇体系を柔軟に運用する人事制度のこと指します。

これまで特に、中小企業では職種に関わらず全社一律の人事管理が運営されてきました。理由としては、全社一律にすることで社員の一体感が醸成され、異動にも対応しやすいからでした。その半面、職種別にメリハリをつけた人事管理ができないため、コスト競争力や技術開発力を優位に保つべく、人材の市場価値に見合った運用がやりにくいといったデメリットが挙げられていました。このような背景から最近では、一律管理が主体だった非管理職層を対象とした人事制度改革が進められています。

 

社員の成果や行動・姿勢を公平に判断し、それを処遇に反映させ、社員のモチベーションアップと成長につなげるには、納得性と公平性のある評価基準が必要です。人事評価基準を設定するにあたっては、職種・役職別に設定することが望ましいと言えます。

企業には、通常さまざまな職種があります。製造業であれば、製造・研究開発・製品開発・営業・管理スタッフ。小売業であれば、販売仕入・販促企画・総務・経理といった職種があります。評価する項目も製造職であれば、生産性や品質向上、コスト低減を期待するでしょう。経理職であれば、会計を迅速に処理できるか、管理コスト削減が求められるかもしれません。また、それぞれの職種において管理職、監督職、一般職といった階層があり、求められる役割も異なります。

職種別に人事評価基準をつくるとは、仕事の役割に応じた評価のものさしを作成する必要があります。社員の方が自分たちの部門や職種は、どのような成果や行動が求められ、評価されるのか。このことが理解・浸透できている組織とそうでない組織では、どちらが成果を上げやすいかは言うまでもありません。

 

また雇用形態別人事評価制度についても近年変化が見られます。現在、働き方改革の柱のひとつである「同一労働・同一賃金制度の適用」も人事評価が注目されるテーマのうちのひとつです。同一労働・同一賃金制度とは、同じ業務であれば正社員、パートなどの雇用形態で区別せずに同一の賃金を支払うと言うものです。これまで雇用形態ごとに評価や賃金の基準を設けていた企業では、改めて人事評価制度の再設計が迫られています。

 

最近の欧米の人事評価制度改革の動向をみてみると、特にアメリカ企業では、社員のランク付け(レイティング)を廃止する動きがでてきており、現場の人材マネジメントを強化しています。そして、担当業務や各部門に最適な目標設定で社員を客観的に絶対評価する動きが強まっています。ギャップ、アドビシステムズ、マイクロソフト、GE、アクセンチュアなど名だたる企業もすでに導入しており、今後も拡大していく傾向です。雇用形態や労働観が異なる日本で、一概に欧米方式を採り入れることがベターではありません。しかし、少子高齢化による人材不足が深刻でダイバーシティ推進にも取組む中、人事評価制度や現場のコミュニケーション機能への期待は高まっています。

 

では、「職種別人事評価制度」設計のやり方をみていきましょう。まず「職種・職群区分」を設定します。仕事の特性を考慮し、評価・処遇面から区分すべき職種群を設定するのが最大のポイントになります。また、職種は通常2~4区分ほどになりますが、最近では10~20区分に職種を細分化するケースも見受けられます。

具体的に職種、職群設定のやり方をみていくと、まず、「評価・育成」の観点からは、期待する成果や仕事の特性を踏まえて区分します。ざっくり区分するとチーム作業か、個人作業か、定型業務か、創造的な仕事かなどです。次に、「処遇」の観点からは、コスト競争力やコア人材確保の面から世間相場と比較、職種特性に見合った賃金モデルカーブのあり方、そして、職種特性を考慮した評価格差のつけ方で職種区分を設定します。最後に、「異動・転勤」の面からは、異動・転勤の妨げにならない区分やルールが必要になります。

そして、「評価・処遇体系」の設計では、①資格制度(職種群特性を踏まえた資格やコースの体系)、②評価基準(育成基準、成果の評価基準として機能するもの)、③処遇制度(昇進昇格、昇給、賞与等の運用ルール)などがポイントになります。

 

7.人事評価制度改善等助成金について

「人事評価等改善助成金」(平成29年度厚生労働省)は、企業が社員の評価制度を改善することでもらえる助成金(制度整備:50万円、目標達成:80万円)です。助成金をもらうには、提出する人事評価制度が8つの要件を満たしてなければなりません。主な要件は以下の通りです。

・労働組合または労働者過半数を代表するものの合意があること

・評価の対象と基準が明確であり、労働者に開示していること

・評価が年1回以上行われるものであること

・人事評価制度に基づく評定と賃金又はその変動巾・割合との関係が明確であること

・1年後の賃金が2%以上増加する見込みであること

 

8.まとめ

どの企業でも通用する万能の人事評価制度などありません。個々の企業によって事業特性や社員構成が違うため、企業ごとに求める人材も違い、結果として人事評価制度も異なります。人事評価制度は違えども、社員が意欲をもって(潜在)能力の開発と活用に取り組み、企業業績向上をもたらすのに有効であれば、それがその会社にとって最適な人事評価制度と言えるでしょう。

人事評価制度は、従来、業績や職務行動を評価して処遇に反映させてきました。今後は、行動情報をフィードバックして、能力開発や行動変革のための気づきを促し、本人の業績向上に役立てようとする取組みへと変わろうとしています。すなわち、正確な査定を行うとこではなく、組織力や意欲を高め、個人や組織のパフォーマンス向上のマネジメントツールとして機能することが大切なのです。

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