PROFESSIONAL JINZAI BANK プロフェッショナル人材バンク

プロフェッショナル人材バンクとは、
日本最大級のビジネスに関するお悩み解決ポータルサイトです。

プロフェッショナル人材バンクTOPへ

2016.10.31 | 技術/研究生産/品質管理

日本の航空機産業は中小企業が支えている! 高度な技術を生み出し、保持するための産業構造

MRJロケット航空宇宙産業

SHARE ON

  • フェイスブックのアイコン
  • ツイッターのアイコン
  • Googleプラスのアイコン
  • はてなブックマークのアイコン
  • ポケットのアイコン
  • ラインのアイコン

現在、日本では50年ぶりとなる国産民間航空機MRJ(三菱リージョナルジェット)の試験飛行が行われています。MRJには産官学連携によって研究・開発が進められた複合材(CFRP=炭素繊維強化プラスチック)が適用され、日本の最先端の技術が結集した航空機に期待が高まっています。

一方で航空機開発は、国や大企業で開発・製造が行われていると思われる方も多いのではないでしょうか。しかし実は、日本の航空機産業は、中小企業が支えているのです。防衛省で長年、航空機の開発計画に携わった宮部俊一さんに、産業構造や開発にかける思いを伺いました。

航空機の研究・開発は、産官学の連携で進められる

航空宇宙機器は、先端技術、素材、部品をシステム統合されたものであり日本の航空機産業発展のためには、機器の各種研究開発を他国に先駆けて、かつ継続して実施していく必要があります。そのため、産官学連携のもとで、航空機等の研究開発が実施されています。

まず、大学などが行う個別要素技術の研究(TRL1~3)から始まり、その基礎技術をもとに産学で行う機器構成部の研究(TRL4~6)が進められ、その成果をもとに実用品(製品)の開発(TRL7~9)を民間企業が行う構造になっています。

(TRL=Technology Readiness Level、技術成熟度レベル)

このような航空機産業における研究や開発を、文部科学省、科学技術庁、経済産業省、防衛省などの関連省庁からの受託事業として民間企業が実施しているのです。また援助事業、関連省庁からの資金、および研究施設利用などの支援も行われています。

非常に裾野が広い航空機産業。関連企業は1,000社を超える

0019

航空機を構成する部品は数百万点に上ります。自動車を構成する部品は2万~3万点ですから、約100倍です。そのため航空機産業は非常に裾野の広い産業であり、1,000社を超える大・中・小企業の集合体となっています。

これらの企業が単に航空機を製造するのみではなく、維持、整備、改善、運航支援などを、当該機が用途廃止されるまで実施するのです。したがって、これらの関連企業は、製造、品質管理はもちろんのこと、改修・改善能力を備え、常に能力を高めながら20年超の長期にわたって活動を続けることになります。

例えば、支援戦闘機F-2の場合、三菱重工業(MHI)がプライムとして事業を取り纏め、エンジンは石川島播磨重工(IHI)、レーダー等搭載装備品は三菱電機(MELCO)が主体となり、国内約1,100社の参画を得て開発・製造を行い、現在もこれら各社がF-2の維持、改善、運航支援等を行っています。又、哨戒機P-2/輸送機C-2の開発には国内外2,400社が参画しました。

この様に、航空機産業は、航空機をプライムとして開発/製造する三菱重工、川崎重工、富士重工、エンジンの開発/製造を行うIHI、IHIエヤロスペース、飛行管制システム、搭載電子機器等を開発/製造する三菱電機、NEC、東芝、及び各種搭載装備品を開発/製造する島津製作所、住友精密工業、ナブテスコを中心として、

これらの企業を支える1,000社以上の材料メーカー、部品メーカー、外注メーカーで、ひとつの航空機事業が行われるのです。

日本の航空機産業は、民間企業が事業として行うもの

以上のような産業構造で日本での航空機開発・製造は行われます。私がいた防衛省は、この産業を構成する企業に要求を出し、その要求に合致させるように指導を行いながら、研究開発されたものの評価を実施し、取得、運用しています。大企業の「プライム」会社が取りまとめを行う多層構造は、産業構造の高度化をけん引し、関連する裾野産業を含めて多くの雇用機会を創出し、民生技術との両用化も期待され、高い経済波及効果をもたらすものです。

戦後の遅れを取り戻し、発展を遂げる航空機産業

現在開発が進められているMRJは、国産民間航空機としては、YS-11(日本航空機製造の双発旅客機)以来の50年ぶりに開発されるものです。これまで開発が行われてこなかった理由は、第二次世界大戦後に航空機開発が途絶え、再開を1952年まで待たなければならなかったことが挙げられます。この7年間のブランクは、常に新しい技術を開発し継続しなければならない航空機産業においては非常に影響が大きかったものです。

現在、日本航空機開発・製造関連の技術は海外の水準を超すほどのところまで進んでいます。炭素系複合材(CFRP)は、防衛省機F-2の開発に於いて初めて航空機主翼に適用され、安全性、信頼性が確認され、以後軽量化を必要とするエンジン補機等航空宇宙機器は無論の事、自動車、鉄道車両に適用される等、日本の産業全体の発展にも寄与しています。

非常に品質が高い、日本の航空宇宙産業

私は防衛省退官後、日本航空宇宙工業会に所属しました。同組織は、航空宇宙機器生産の振興と貿易の拡大を通じて、日本の航空宇宙工業の健全な発展を図り、産業の高度化と国民生活の向上に寄与し、世界の航空宇宙産業の健全な発展に貢献することを目的とする民間公益団体です。

現在は日本の航空機、人工衛星、ロケットおよびそれらのエンジンを始め、関連機器、素材などの開発、製造修理ならびに航空輸送に携わる企業と貿易商社の約140社から構成されているものです。

航空宇宙産業では、品質管理が非常に重要です。日本の航空宇宙産業の品質管理・製造能力は世界でも認知されています。世界共通の航空・宇宙機器の品質管理基準を定めるIAQG(International Aero Quality Group、国際航空宇宙品質グループ)会議において、国際的な基準を日本の国内規格(JIS-9100)として制定することができました。

当該基準は、現在、日本の国内規格(JIS-9100)として制定され運用されています。

これは、日本の航空宇宙産業において国際的な優位性を確保するとともに、さらなる発展に向けて大きな貢献を果たせるものだと考えています。

絶え間なく挑戦を続け、発展を目指す

0039

先に述べたように、日本の航空機産業は戦後中断され1952年に再開された後、現在は宇宙機器を含めた航空宇宙産業として発展を続けています。

航空機に関しては、F-1、F-2の戦闘機、C-1、C-2の輸送機、P-1哨戒機など防衛省機主体の研究開発・製造が行われてきました。現在、民間機としてはYS-11以来50年ぶりにMRJの開発が進められ、飛行試験が行われています。また宇宙機器に関しても、1966年L-4Sロケット1号機の打ち上げを始めとして、本年11月1日には国産のH-ⅡAロケットによる静止気象衛星ひまわりの打ち上げが予定されています。

この業界での一番のやりがいは、新しい事に挑戦し、現実の物として成し遂げることです。日本の航空宇宙産業は、政府需要のみではなく、民間航空機や民間衛星の打ち上げなどへの参画により、さらに発展を遂げるものでしょう。開発された航空機や衛星が飛んだ瞬間、本当に嬉しく感じられるのです。

この記事を書いたプロフェッショナル宮部 俊一 顧問

防衛省 航空幕僚監部 技術部長

紹介文

これまで一貫して、航空宇宙機器の研究開発業務に従事して来ました。防衛省に於いては、中等練習機T-4、支援戦闘機F-2の開発を実施するとともに、航空機器関連装備品/システム(航空機、ミサイル、レーダー、警戒管制システム等)の研究開発計画の策定を行いました。、日本航空宇宙工業会(SJAC)では、官学が持つ予算を如何にして産業界が活用できるかを検討し、文科省、経産省、防衛省と連携のもと、その為の枠組作りに取り組みました。又、航空宇宙機器の品質管理に関して、国際的な統一基準である、「航空宇宙品質管理基準(IAQG9100)」の策定、制定、及び認定の為の取り組みを行い、JISQ9100(日本)を制定する事が出来ました。

41年間の航空宇宙産業分野での経験から、国内中小零細企業に対して、搭載電子機器を含めた航空宇宙機器等の研究開発/品質管理等に関して、アドバイスが可能です

SHARE ON

  • フェイスブックのアイコン
  • ツイッターのアイコン
  • Googleプラスのアイコン
  • はてなブックマークのアイコン
  • ポケットのアイコン
  • ラインのアイコン

この記事を読んだ方にオススメ

お悩みの方はお気軽にご相談ください

無料資料ダウンロードより、在籍中の顧問のデータ・今までの顧問導入事例がご覧いただけます。
顧問派遣・有資格者紹介をご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。

電話アイコン
お電話でのお問い合わせ電話番号0120-36-4510平日 9:00~18:00

TOPに戻るボタン