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2019.10.1 | 経営相談

経営戦略とは?具体的な策定のプロセスを解説!

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1.経営戦略とは

中小企業においては、「経営戦略」と言うと、なにか掴みどころのない存在なのではないでしょうか。「戦略」の定義もしっかりておらず、どのように推進していいかも定かでないのが実情ではないでしょうか。

 組織の中で経営戦略をしっかりと定義しないまま事業を進めると、現場での戦略実行やフォローに支障をきたすケースが多いようです。「事業部と営業所間で事業方針・戦略が共有化されていない」「戦略がなければ販売・開発・製造が一体化できるはずがない」といった問題を抱えている企業もあるのではないのでしょうか。これは、社内に戦略策定のフレームワークやメソッドなど策定や共有方法が定着していないことが一因と言えます。

経営戦略は、「企業(特定組織)が実現したい目的・目標に向けて、外部環境変化への適応と内部資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の最適配分を基に描いた“将来にわたる見取り図(シナリオ)”」と定義できます。

また、企業経営システムのピラミッド構造では、最上位から「経営理念」「ビジョン」「経営戦略」「経営計画」「戦略実行」「戦略実行フォロー」という並びになり、経営戦略を中心にしてマネジメントサイクル(PDCA)を回すことが大切です。

 

1)経営戦略の中身

 経営戦略には、「全社戦略」、「事業戦略」、「機能戦略」があります。

全社戦略(企業戦略)は、会社全体に及ぼす戦略であり、事業ポートフォリオ最適化(選択と集中、参入・撤退・買収)をはじめ、組織・風土変革、財務戦略など会社全体をドライブする戦略です。事業戦略は、特定の事業部門の事業目標・方針の実現に向けて策定される、事業企画や部署間の連携方法、収益最大化、新市場創出、新規事業立ち上げなどの戦略です。そして、機能戦略は事業企画、開発・製造・営業など特定機能組織の個別戦略です。

戦略はピラミッド構造とよく言われますが、上位の戦略は下位の戦略に対して大きな影響を持ちます。もし、上位の戦略が間違っていたら、その下の戦略もすべて間違っていることになります。

 

 

検討内容

策定担当者

責任者

全社

戦略

・経営理念や経営ビジョン

・経営方針、目的、目標

・事業部門ごとの経営資源配分

・各事業部門の目標割付

 …部門責任者と目標を握る

・経営責任者

(経営者、経営陣)

・経営企画部

経営責任者

・全社戦略の成果

・事業戦略の
経営資源配分

・事業部長人選

事業

戦略

・基本戦略
(コスト、差別化、戦略と集中)

・機能部門ごとの経営資源配分

・機能部門の目標割付
…部門責任者と目標を握る

・事業統括責任者
(事業部長、

エリア長)

事業統括責任者

・事業戦略の成果

・機能戦略の

経営資源配分

・現場リーダー人選

機能

戦略

・機能戦略

・現場ごとの経営資源配分

・各現場の目標割付
…現場リーダーと目標を握る

機能部門責任者
(部課長、

現場リーダー)

現場リーダー
・機能戦略成果
・個人の目標管理
 への展開と活動
  フォローの責任

 

(1)全社戦略

①経営戦略に一貫性を生む経営理念

「全社戦略(企業戦略)」「事業戦略」「機能戦略(機能別戦略)」全てを一本に繋ぐのが経営理念です。経営理念は内容も形式も会社によってさまざまですが、ここでは企業の「社会的使命(ミッション)」「理想像(ビジョン)」「価値観(バリュー)」などを総称して「経営理念」と呼ぶことにします。

全ての経営戦略が経営理念によって繋がることで、企業の行動に一貫性が生まれます。行動に一貫性が生まれれば、社員全員の足並みが揃って経営資源を最大限に活かすことができます。

経営理念は、企業経営の基本的な考え方・哲学を示したものですが、頻繁に変える性質のものではありません。また、事業ドメインは、企業の長期的な事業領域を示すものですが、企業の大きな転換期には、大きく変えることも必要となります。

②事業ポートフォリオと方向づけ

自社の事業ポートフォリオと経営資源配分の方向づけを行います。

例えば、全社レベルで市場・顧客と商品・サービスの違いから戦略的事業単位(SBU:Strategic Business Unit)を設定し、市場性や競争力の視点からSBUを評価して、SBUの選択と集中とSBUごとの経営資源配分を決めることは、全社戦略の中でも重要な戦略であります。

中小企業では、創業時からの基盤事業が市場変化とにも成長が鈍化し慢性的赤字経営に陥っても顧客や従業員などのしがらみなどでなかなか撤退できないケースを耳にします。そのときこそ、「全社最適」の視点で、企業の将来像を見据え、事業ポートフォリオの組替えに取り組むべきです。

 

(2)事業戦略

中堅・中小企業では、事業部や関係会社が立てる戦略、場合によっては会社全体で立てる戦略が事業戦略となります。事業戦略は、顧客満足・競争優位を実現する事業の目指す方向を明確にすることですが、その内容は次の視点になります。

①事業レベルの事業領域の設定と方向づけ

事業レベルでどんな市場・顧客を対象にどのような商品・サービスを提供するかの「事業領域の設定」が基本となります。SBUをさらにブレークダウンした事業ユニット(BU:Business Unit)の設定とBUの資源配分の方向づけがポイントとなります。

②市場・顧客戦略/商品・サービス戦略

顧客満足・競争優位を実現する「市場・顧客戦略」と「商品・サービス戦略」を、BUごとに策定することがポイントとなります。

③事業モデルの設定

事業モデルは、「収益最大化の事業の仕組み」と言えますが、アウトソーシングやITの進展とともに事業戦略の一環として重要となっています。

 

(3)機能戦略

機能戦略は、事業を具体的に展開するために必要となる機能レベルの経営戦略で、機能部門ごとの目指す方向を明確にすることです。

メーカーであれば、研究開発、購買・生産、営業、物流等の機能についての戦略です。また、流通業では、商品企画、仕入、営業、物流等の機能についての戦略を意味します。

機能戦略は、特に事業戦略に基づいて立てることと機能間の戦略に整合性を持たせることがポイントとなります。

なお、財務・人事・総務・情報システム等の事業を支援する本社機能についての戦略も機能戦略と考えられますが、全社戦略との関連を考えて方向づけをすることがポイントとなります。

 

(4)その他

その他の経営戦略としては、「グローバル戦略」「M&A戦略」、また最近の旬のテーマとしては、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「働き方改革」などがあり、経営トップの特命プロジェクトや全社タスクフォースを編成して取り組んでいます。

 

2.経営戦略の策定方法

①事業環境の分析

経営戦略を打ち出す準備として、内部・外部環境分析からスタートします。

内部分析の対象は、自社が保有する経営資源(ヒト、モノ、カネ)だけでなく、財務基盤や生産性、技術力、組織風土も含まれます。

一方、外部環境分析では、メガトレンドや変化の兆しを明らかにし、市場ニーズや競争環境の変化を把握し、市場における機会と脅威の発見につなげます。また、自社が身を置く業界動向や競合他社の動向、市場・技術革新の動向分析を進めます。近年ではイノベーションによる異業種・新興企業からの参入が珍しくありません。そのため、外部環境分析する上では、幅広い業界や技術革新の動向も注視することも大切です。

 

②セグメンテーション、ターゲットの決定

市場を細分化することにより市場構造を明らかにし、自社が狙っているターゲットを定めることでターゲットに集中してマーケティング活動を展開することができるようになります。

③セグメンテーション

市場細分化(セグメンテーション)は、特定の基準のもとに市場ニーズが共通している視点で切り取った市場のことを言います。市場細分化することで、ターゲットを定めやすくなり、新たなビジネスの価値を発見することができます。売れる商品・サービスを開発し、効果的にプロモーションするためには、購買してもらう顧客層を明確にする必要があります。市場細分化の評価軸としては、年齢層、趣味嗜好、居住地域などがあります。

④ターゲティング

ターゲティングは、市場のどこを標的とするのかを決めるプロセスです。ターゲティングを行うに際しては、自社の強みを生かすことができ、競合他社に対して優位に立てることを考慮することが大切です。

⑤ポジショニング

ターゲティングは、標的の対象となる「顧客ニーズ」を選択することでもあります。

選択した顧客ニーズに対し、どのような価値を提供するかを決めるのがポジショニングです。ポジショニングに当たっては、同種の商品やサービスを提供する競合他社に対し、自社の商品やサービスをどう差別化できるのかを検討することがポイントです。

 

3)経営戦略の全体像の決定

経営戦略の策定では、全体像を明確にすることが重要です。全体像とは戦略のフレームワークや策定フローのことを指し、戦略策定に関与する人々の間で戦略内容の共有化や合意形成を図る大切なツールになります。ここでは事業戦略策定を取り上げて解説します。中期経営計画策定に先立ち、経営企画部から各事業部門に対し、事業戦略書(共通フォーマット)を提供し、内容をまとめます。事業戦略書は、「基礎分析」、「基本戦略」、「戦略体系」から構成されます。

特に「基本戦略」のデザインが肝になり、次の3つがKey(⇒手法)になります。

・将来の事業領域 ⇒製品・市場マトリックス(現状と3~5年後)

・戦略ポジションと競争ルール ⇒技術シーズと市場ニーズのマッチング

・事業価値の最大化の仕掛けづくり ⇒ビジネスモデルの設計

 

4)戦術の策定

「戦略」、「戦術」は元々は軍事用語です。近年企業経営に応用され、「戦術」は英語でTactics(タクティス)と言います。「戦略」が長期的な展望に対しての計画であるのに対し、「戦術」は戦略を達成するための個別具体的な方法やノウハウとなります。

実は多くの企業が、戦略と戦術を十分に区別しないまま経営を行っています。というのも、経営者は「戦術」を「戦略」だと思い込んでいることが多いためです。

戦略とは英単語で表すとWHAT(目的)です。「成果を出すために何をするのか」「何をすれば儲かるのか」「何を捨てれば効率的なのか」「何をすればいいのか」というところから考え、企業の進むべき方向性、シナリオを考えることが戦略です。

一方、戦術とは英単語で表すとHOW TO(手段)です。現状の延長線上でやり方や方法を改善したり、業務を効率化したりすることが戦術といえます。戦術は戦略を実現させるための手段であり、成果を出すための具体的な方法を指します。つまり、「手段、オペレーション」のことです。

 

3.戦略策定に役立つフレームワーク

ビジネスの現場において、物事を的確に素早く把握するには、“フレームワーク”と呼ばれる型を使うのが効果的です。フレームワークには戦略の方向性や分析を行うものなど様々なパターンがあり、上手く活用すれば状況判断や意思決定のスピードを一気に上げることができます。ここでは事業戦略策定の分析フレームワークを3つほど紹介します。

1)SWOT分析

企業(事業)の現状分析と将来動向分析では最もポピュラーなフレームワークであります。外部環境を「機会(Opportunities)、脅威(Threats)」、内部環境を「強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)」という視点から要因を洗い出していくことが基本となります。

SWOT分析の狙いは、自社内部の優位性と弱点を洗い出ししつつ、外部環境の機会と脅威をあぶり出しながら将来の課題を設定し、事業戦略や競争戦略策定に活かすことです。また、SWOT分析のユニークな活用法として、自社の強みが生かせる新事業候補テーマ(事業機会)の抽出に利用される場合があります。

SWOT分析は、自社の特徴(強み・弱み)を洗い出すだけでなく、外部環境と比較しながら戦略上の機会や脅威までまとめて発見できるところが優れている点です。一方で、外部要因(機会・脅威)と内部要因(強み、弱み)の羅列に止まっていたので、戦略策定に繋がらない欠点がありました。そこで、下記のようなSWOT分析(改良版)も開発されています。

・A象限(強み×機会):自社の強みで機会を増幅する(競合を引き離す)

・B象限(強み×脅威):自社の強みが脅威でうち消されない対策を講じる

・C象限(弱み×機会):自社の弱みで機会損失しないよう予防対策を立てる

・D象限(弱み×脅威):自社の弱みと脅威が重なるリスク回避策…転ばぬ先の杖

上記の“SWOT4象限”に戦略的意味づけを定義し、事業戦略(リーダー戦略、Only-one戦略、リスク戦略など)へ展開することで策定がスムーズに進むでしょう。

 

2)3C分析

競争戦略の本質は、「自社の強みを活かして競合と差別化し、顧客が求める価値(ニーズ)を提供すること」であります。3C分析は、顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)の頭文字をとったものです。

3C分析は、外部環境や競合の状況から事業のKSF(Key Success Factors:成功要因)を導き、事業を成功に導くために用いられます。

顧客の視点では、既存・潜在顧客、さらには市場・顧客ニーズの変化や購買行動を分析し、自社の標的にすべき顧客戦略に役立てます。競合の視点では、競合は顧客の変化にどのような対応しているかウォッチします。自社の視点では、顧客、競合の動向を踏まえて差別化要因を明確にして、競争戦略やマーケティング戦略へつなげていきます。

現在、顧客ニーズは「消費」から「体験」へと価値観が変わってきており、さらに価値観の多様化が進んでいます。そのため、全ての顧客をカバーできる価値の提供ではなく、ターゲットとなる顧客を明確にすることが主流となっています。

 

3)5フォース分析

M.E.ポーターの競争戦略論をベースにした「5つの競争要因(別名:5フォース分析)と呼ばれ、業界構造分析するためのフレームワークです。参入プレーヤーの5つの力(①新規参入者の力、②業界内の競争業者の力。③代替品・代替サービスの力、④買い手の力、⑤売り手の力)を市場の中で位置づけ、自社の有利なポジショニングを模索します。

さらに、それぞれの「力」が業界全体に与える影響力は何か。どのような状況になると不利になるのか、また競争が激しくなってしまうのか、さらにそのような状況に陥ったときに取り得る対策は何かなどを検討していきます。

5フォース分析は、参入している業界特性、競争ルールや条件などを整理するには良いフレームワークです。ただ、現在の市場と競争環境はダイナミックに変化しており、産業や業界の垣根自体も国境を越え、産業・業種が流動的になった現代において、固定的な産業構造を前提とした5 フォース分析は、そのままでは通用しなくなっており、一工夫する必要があることを付け加えておきます。

 

4.まとめ

経営戦略の策定方法についてここまで見てきましたが、最後に戦略を立てる上で重要なポイントをまとめます。

  • 経営戦略とは「構造化」と「重要度」を決めること

戦略を決めるにあたって戦略の質を左右するポイントは「構造化」と「重要度」です。データをしっかりと分析し、フレームワークなどを用いて戦略に落とし込むのが「構造化」の力。また、業界動向や自社の強みなどを鑑みて戦略に適切な「重要度」を付けることも重要です。この2つが揃ってはじめて納得のいく経営戦略を作ることができるでしょう。

  • 仮説検証型の戦略づくり

よく“重箱の隅をつつく”細かい調査や分析業務に取り組んでいる企画スタッフを見かけます。それらの個別の分析結果を積み上げて結論(問題点・課題)を導きだそうということですが、時間と労力がかかり、質の高い事業戦略に到達しないことが多々あります。それよりも、自分の問題認識をベースに、社内現場の意見を吸い上げ、一定のフレームワークや視点から問題を整理して「仮説的課題」を設定すべきです。その仮説課題の検証のために、必要となる情報収集や各種分析評価手法で仮説検証すべきです。その方が短時間かつ効果的に質の高い戦略を導き出せます。

  • 戦略は“60点主義”~完璧主義より60点主義で戦略の実行スタートを~

現代は不確実・不透明・混迷の時代、その中で戦略を立てなければなりません。机上で戦略の具体化(粒度)や質を上げる(精度)には限界があります。それよりも、試行して初めてわかることも多々あります。まずは戦略を実行してみることが肝要です。戦略を実行しながら戦略を具体化しブラッシュアップする方が効率的です。戦略60点主義で戦略実行をスタートし、PDCAサイクルを高速に回すことが有効でしょう。

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