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2019.10.21 | 人事/バックオフィス経営相談

人材育成の手法と注意すべきポイント

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「少子高齢化社会の到来」と言われて久しいですが、日本企業では労働力確保が一段と厳しくなっています。有効求人倍率は1.62倍(厚生労働省発表2019年5月時点)と高水準が続き、企業にとって採用した人材のスキルを社内でいかに高めるかが、競争優位性を保つ大きな一因となっています。

効果的な人材活用ができない企業は、優秀な人材の流出を止められず、採用力も下がっていきます。「人材育成」はいまや経営戦略の一つであり、組織的に取り組むことが優先課題となっています。

 

1.人材育成とは

人材育成とは、端的に言えば、企業の持続的成長と企業業績の向上に貢献する人材を育てることです。

 

1)人材育成の目的

①仕事能力を向上させ企業の業績向上に貢献する

社員教育とは、仕事の中で具体的にどう「考えたらいいか」「行動すべきか」を教えることです。その結果、仕事の中の具体的な判断・行動が変化し、業績向上に寄与するものであるべきです。

②経営戦略を具現化する

将来の事業のあり方を踏まえ、求められるスキルを分析し、見通しを立てながら継続的に人材育成を行うことは、まさに組織の将来像をつくることに他なりません。例えば、3年後、新規事業を伸ばすために若手の経営幹部を多数輩出したいと思えば、20代から経営者としての事業戦略、事業運営、事業マインドなどを継続的に教え、今の仕事の中で少しずつ実践してもらう必要があります。

③生産性向上を図る

あらゆる業界で人手不足となっています。2030年には約1千万人の労働力が不足すると言われています。そんな厳しい経営環境下で成長を維持するには、社内人材の能力向上を通じて、生産性向上を図るのが最も現実的な施策です。例えば、1,000人の企業で5%生産性が向上すれば、50人分の人材不足に対応できます。

 

2)年代・役職によって異なる人材要件

組織内の立場や役割により、人材育成に求めるもの(目的)が異なります。

経営者は企業の持続的成長のため将来を見据えた視点で教育を考えます。環境変化に対応できる先見性・リーダーシップ・変革意識の教育が一番必要だと考えます。

その一方で、部課長などミドルマネージャーは今期の目標を達成するために、部下の営業力・提案力を強化させたいと考えます。

また、現場の若手は眼前の仕事をうまくこなすためにプレゼンテーションスキル・クレーム対応力・時間管理術などを身につけたいと強く考えているという具合です。

よって、それぞれのニーズ・課題を整理しないと、受け入れられる人材育成はできません。

 

2.人材育成の進め方

1)現状把握 ~現場から課題をすくいあげる

①組織全体の仕事の仕方を把握する

人材育成担当者が最初にやるべきことは、様々な仕事を誰が、どのように担っているかを把握することです。具体的には、各部署・各年次・各階層が何人いて、何をやっているのか、また、生産性が高いのか、低いのかなどを把握します。

②現状の課題をミドル層・現場担当者に確認する

そして、社内のミドル層・現場の若手にヒアリングして、今すぐにでも解消したい課題を把握します。教育で解消できるかどうかも検討します。

 

2)将来の自社の姿の想定 ~組織のありたい姿を描く

①現在および将来の人員構成を把握する

現在の人員構成(年齢別・スキル別・役職別)と人数を把握します。また3年後、5年後にはこれがどんな構成になっているかを想定し、「3年後までには管理職スキルを持つ人材をあと10名育成する必要がある」などと仮説を立てます。

②経営者に聞く

経営者はミドル・現場担当者とは異なったスキル・意識を人材に求めているものです。人材育成担当者はその経営者ニーズにも対応する必要があります。特に、将来実現したい事業についてヒアリングし、人材育成を通じて新規事業の創出を支援すべきです。

 

3)人材育成の企画・実行

人材育成の企画を考える上で最も重要なことは、「人材育成の全体像を捉え、上流から企画を精緻に検討していくこと」です。

 

①人材戦略を立てる

経営戦略に基づき人材戦略を立案します。スピーディに、アジャイルに社員を育成していくにあたり、全社を通じて求める人材像や人材育成方針をしっかりと決めておきましょう。

 

②人材育成の仕組みをつくる

ポイントは「仕組みは変えるためにある」、「運用にあたっては経営層の視点を持つ」

の2点です。仕組みを一度決めたらもう変えないのではなく、時代に合っているか最適なものか常に見直しが肝要です。

更に、仕組みを回すことが目的なのではなく、「新しいビジネスを生み出せる人材が育ってきているか」という視点を忘れないようにしましょう。

 

③現場力を向上させる

全社員に一律のスキル習得やレベルアップを期待するのではなく、それぞれの持ち場で最高の成果を出せる人材を育てることを目指します。不測の事態への臨機応変な対応、新規ビジネスのためのアイデア出しなど、指示がなくても自ら行動を起こせる人材になってもらいたいところです。

現場力を向上させる一番の方法は、裁量権を持たせ、「任せること」です。時には失敗もするかもしれませんが、そこから学ぶことも多いものです。管理職はじっと見守り、最後に責任を取るというスタンスで臨むと、社員の現場力は格段に上がります。

 

④人材力を診断する

人材が育成される環境や仕組みを整えたら、次は本人の現状の資質やスキルを可視化します。客観的な診断結果を見て、伸ばすべきところや補うべきところといった課題を認識してもらいます。それにより社員自身が納得の上で変化し、成長していくことができるようになります。

 

4)人材育成計画の策定

 人材育成計画策定の前提として、「自社が経営戦略を進めていく上で、どのような人材を育成したらいいのか?」を人材育成の戦略として明文化しておくことが大切です。自社の事業活動を推進する際に求められる「能力や人材像」を導き出し、いつまでにそのレベルまで引き上げるかを明確にする必要があります。

例えば、求められる能力や人材像とは、「自律的に思考し、主体的に活動を行える人材」などです。そのような人材を育成するために、ビジネスシーンで求められる3つのスキル(ヒューマンスキル,テクニカルスキル,コンセプチュアルスキル)を判断基準として、階層別に考えていくことが人材育成の計画になります。

一般的には、新卒~若手にはコミュニケーション能力や論理的思考能力など、ビジネスパーソンには基本的なスキルであるヒューマンスキルと業務に必要な専門的な知識が求められます。中堅~管理層になると、定型業務を遂行するだけでなく、与えられた役割の中で自分自身が考える能力が求められるようになるので、業務を戦略的に遂行していくコンセプチュアルスキルも重要なポイントとなってきます。年齢や階層によって求められる能力は異なりますので、年齢・階層別に細分化していくと育成レベルを定めやすくなります。

 

3.具体的人材育成の手法

1)社内研修(外部研修含む)

業務外の研修を指す「Off the Job Training」は、社内の集合研修や、外部講師を招いてのセミナーなどがあります。集合研修の難しさは、学んだことを実際の業務にどう役立てるかにあります。講義形式で知識を体系的に学ぶことも必要ですが、実際に起こりうる問題を題材にしたケーススタディやロールプレイングなど、実践的な力をつけていくワークを積極的に取り入れることも有効です。知識を体系的に身につける集合研修と、業務経験を重ねるOJTを組み合わせることで、学びはより深まります。

 

2)OJT

現場における教育や指導を指す「On the Job Training」は、実際の仕事を通して、必要な知識やスキルの習得を目指す、人材育成の王道の手法です。指導は上司や先輩が行います。

人材育成全体の9割近くの時間を占めるのがこのOJTです。実践のなかで必要な力を身につけるため、効率的かつ応用力の高いスキル習得に繋がります。日々の業務を通じて、自己の成長が感じられる環境があれば、個人にとっても組織に所属するメリットとなり、企業と個人がWin-Winの関係で成長を続けられます。

 

3)メンター制度

メンター制度とは、中堅社員が後輩の指導係となり、仕事の進め方や精神的サポート等を行うことを言います。中堅社員がメンターを務めることにより、改めて仕事の進め方などについても見直すことができ、自分自身のスキルアップにも繋がります。また、これまでは自身の仕事だけに邁進していた環境から、後輩の仕事を意識するようになることで、より広い視野が広がるというメリットもあります。

 

4)自己啓発

セミナーへの参加や、書籍などで学びの機会を得る自己啓発(Self Development)を指します。「自己啓発しなさい」と働きかけるのではなく、本人が必要性を理解し気づき自ら取組むこと、継続することが、能力開発に至る早道です。自己成長に関心がある方は、言わなくても自己啓発を行いますが、社員教育においては、取り組まない社員にこそ、促す必要があります。何故あなたには能力強化が必要なのか、何故その分野を勉強すべきなのか、その先には何があるのか、成長した姿を描かせながら、自ら必要性を感じるようにサポートします。

 

5)最近注目されている人材育成法

①タレントマネジメント

タレントマネジメントは、会社に貢献しうる優秀な人材を「タレント」と称し、その社員がどのようなスキルや能力を持っているのかを的確に把握します。そのパフォーマンスを最大化するための取組みを実施します。優秀な人材をピックアップし、その人材を適材適所に配置し、そして、その能力に沿った人材育成を実施することにより、パフォーマンスを最大化するというものです。また、近年ではこのタレントマネジメントの推進をサポートするシステムとして「タレントマネジメントシステム」を導入する企業も増加しています。

②eラーニング

「いつでも」「どこでも」「手軽に」行うことができ、納得できるまで何度でも繰り返して学べるeラーニングには多くの注目が寄せられています。また、学習管理システムによってコンテンツの作成やコースの設定、学習進捗の把握も可能です。時代やニーズに合わせた学習内容を提供することもできるため、ビジネスシーンにおいても活用の場が広がってきています。更に、eラーニングの学習データを人事計画やタレントマネジメントと連動させたトータルサポートシステムも登場しており、人事担当者のみならず、経営陣にとっても導入効果の高いシステムだと言えるでしょう。

 

4.人材育成を成功させるポイント

1)人材育成目的の明確化

人材育成の目的を明確化することで、その目的を達成するために必要なことも明確になります。例えば、次世代リーダーの育成が目的の場合、次世代リーダー候補者に求められる要件の定義や候補者選抜が必要です。選抜された対象者に研修を実施する際は、次世代リーダー候補者としての意識づけと、研修の目的を伝えることで、施策の効果が一層高まります。

 

2)社員の自発性を引き出す環境の整備

入社前にやる気に満ちあふれていた社員が、入社後に指示待ちになってしまうケースはよく見受けられます。この原因の1つは、自分の頭で考えて行動するよりも、ルールや前例に従うことを良しとする企業風土にあります。このような場合、「不要な社内ルールをなくす」「納得性の高い評価制度を作る」「チャレンジを奨励し失敗を責めない」など、会社として社員の自発性を引き出す職場環境作りに取り組む必要があります。

人材育成を進める上で、次の「目標管理制度」「人事評価制度」の活用がキーになります。

①目標管理制度

人材育成のためには、社員に合った適切な目標管理が重要な役割を果たします。社員個人が、短期的、または長期的な目標を持ち、それを意識しながら日々仕事に邁進することで、その人材の成長の手助けとなります。

目標を管理する上司は、具体的な目標のために今何をすべきなのか、そのためには今どのようなスキルが必要なのかを一緒に考えます。設定する目標は経営目標や部門目標とリンクするため、目標管理制度は人事考課としてだけでなく、目標達成によって企業収益に貢献できる仕組みとしての一面もあります。

②人事評価制度

人材を育成するためには、社員自身のモチベーションが維持されていることが重要です。そのためには、定期的な面談や管理者によるこまめなフォローなどにより、社員の能力や結果が正しく評価され、それが人材配置や処遇・給与などに適切に反映される人事評価制度が必要となります。特に、数値化された人事評価は、定量的な評価であるため評価者が評価しやすいだけでなく、評価された社員も評価の内容について理解しやすいことが重要です。

これらの評価制度が、社員にとって納得性の高いものであり、正しく実行されれば、社員のモチベーションも維持することができ、自身の成長に対しても向上心を持ち続けることができます。人材育成のベースがここで成り立つと言っても過言ではありません。

 

3)研修だけでなく実践の機会を提供する

研修は人材育成の一環として有効ですが、研修内容を定着させるためには実践機会を設ける必要があります。研修受講者に行動計画を立ててもらった上で、学んだ内容を生かせる業務を任せたり、権限を委譲したりすると良いでしょう。上司と共に一定期間ごとに振り返りを行うことによって、実践を促進することができます。

 

5.まとめ

自動車業界の“百年に一度の大変革”やDX(デジタルトランスフォーメーション)などが進む中、業界・市場構造が変わり、ビジネスモデル革新(モノづくりからコトづくり、定額制サービスの台頭など)が起きています。

だからこそ、“変化を機会と捉え”、自らが動き、新しいものを生み出す力のある人、社内外の横の関係を築くことができ、周囲を巻き込んで動ける人(チェンジ・リーダー)を育成することが求められます。

そのためには、

・社員をゼロから育てるというより、社員の資質や特性を徹底的に活かす

・人材育成の“仕組み”も変更しても良しとし、一定期間運用してみて見直しを図る

といった指針に基づき、人材育成の新しい取組を試行・見直し(トライアルアンドエラー)することも大事になってきます。経営者や人事担当だけでなく、現場の社員も巻き込んでの大きな変革となりますが、不測の事態に備え、今から取り組んでいくことをお勧めします。

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