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2019.11.7 | 技術/研究

技術顧問を利用する際のポイントとは?実際の事例を交えて解説!

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1.技術顧問とは

技術顧問は、組織において指導的な立場の技術者であり、なおかつ相談役というのが意味するところです。顧問として企業に参画するので、フルコミットで常駐するというより、必要な課題の強化という役割に特化した働き方になります。例えば、技術顧問が有する技術やスキルの知見や経験を若手エンジニアに技術指導したり、管理部門系ではエンジニア採用のノウハウやエンジニアの技術面の向上のための教育や研修、また環境を整えるためのエンジニア人事制度づくりなど、ありとあらゆる「会社における技術に付随する顧問の役割」を担います。

 

1)技術顧問の役割

技術顧問は、テクニカルアドバイザーやセカンドオピニオンと呼ばれ、専門的な技術を持ったプロフェッショナルやある分野で長年経験を積んできた人物が、他社に技術顧問という形で入り、専門的技術のアドバイスやエンジニアへの指導を行います。

多くの場合、卓越したスキルと技術的指導力を備えた人材を抱えていない会社が、必要に応じて外部からプロフェッショナル人材を招聘することによって成立します。いわば外部アドバイザーのため、その会社には所属せずに一定期間の顧問契約を結ぶスタイルが一般的で、多くが複数の会社を掛け持ちしています。

 

技術顧問には、「経営コンサルティング型」と「特定技術領域特化アドバイザー型」の2つのタイプがあります。

①経営コンサルティング型の技術顧問

その会社のCTO(最高技術責任者:chief technology officer)や、CTOがいない会社のCEOの技術アドバイザーとして参画。メンターになったり、あるいはコーチングしたりしながら、技術開発や製品開発そのものだけでなく、開発組織のマネジメントや技術者採用や、周辺チームと開発組織の関係性づくり、開発パイプラインとその進度管理など、幅広く開発組織とそれに関わる技術経営について多角的視点から助言します。

 

②特定技術領域特化アドバイザー型の技術顧問

最近、技術顧問として増えているのはこちらのタイプです。

比較的大きな会社でテックリード(エンジニアチームの窓口兼リーダー)を務めるような、特定技術領域に精通しているプロフェッショナルが、その領域で困っている会社にテクニカルアドバイザーで雇われるケースがあります。

 

2)技術顧問が必要とされる背景

これまで日本の企業では、社内でもっとも優秀なエンジニアが、CTOやそれに近しいポジションに赴くケースがほとんどでした。

しかし近年では、自社にCTOを務められる人材がいないスタートアップなどの若い組織を中心に、大手企業の元CTOや、技術力と経験を備えたエンジニアが技術顧問に就任するというケースが増えています。特に、新規事業の立ち上げ時などにおいては、社内で専門的技術人材が不足していても、期間契約で外部からアドバイザーとして招聘する技術顧問であれば外注できます。なおかつ、社内教育も進められるとあれば、企業側にとってその利便性は非常に有用であると言えます。

また、「VPoE(Vice President of Engineering)」という役職をご存知でしょうか?

海外、特に欧米のエンジニア組織では以前から欠かせない存在とされています。VPoE とは、開発の組織運営やエンジニア育成などの面でのアドバイザーのことです。モノづくりサイドの視点で社内の合意形成や相互理解を進めるファシリテーターの役割を担います。日本での認知度はまだまだ低いかと思います。最近では、Uber、メルカリ、SpeeeなどがVPoEを外部から招聘し、技術経営の2頭体制(CTOとVPoE)を推進しています。CTOとVPoEの違いは、CTOは技術に対する課題を解決する責任者。一方で、VPoEは組織が事業を営むために十分な技術力を保てるように支援し、技術によって生み出される価値を最大化できる組織づくりを担うことになります。

これから日本でもIT業界を中心に、どんどん増えてきそうなポジションのひとつと考えられます。

 

このような背景から、今後も技術顧問の需要が高まってきています。

・ベンチャー/スタートアップ企業で事業強化・拡大の中、技術開発体制を強化したい

・最初から専門家の知見を取り入れて新製品・新サービスを開発したい

・未知な新技術領域での研究開発と事業化をしたいが、その技術統括を任せたい

このような企業では、技術顧問の起用あるいは、今後の起用を考えているようです。

 

3)一般的な技術顧問の契約形態

外部アドバイザーである技術顧問との契約では、委任契約を結ぶのが一般的で、「契約期間」「サービス内容(技術指導など)」「報酬(月額報酬もしくは時間報酬)」などの内容を定めることが必要となります。

また、成果についても契約時に確認しておくとよいでしょう。業務内容によっては成果を明確化できないケースもありますが、できる限り明確化し、契約の際に相談しながら進めていきます。

そして、委託契約では「業務範囲」を明確に定めておくことが非常に重要です。「○○に関する技術指導」などのように、何をどこまで行うのかを明記。定期訪問をしたり電話相談を受けたりする場合は、「月に2回、1回につき1時間」など、どれくらいの頻度・時間で行うかも併せて記載しておくと、トラブルの予防になります。

他にも、「契約金額・支払時期・支払い方法」「トラブルがあったときの責任について」「成果物に関する知的財産権・所有権の帰属について」「競業避止義務の設定」は必要に応じて明記しておいたほうがよいでしょう。

技術顧問との間では委任契約が一般的ですが、契約形態は各企業に任されています。常勤が必要となる業界では雇用契約を結ぶ企業もあります。

 

2.技術顧問を利用する際のポイント

1)技術顧問の役割を明確化

技術顧問の業務内容は業種によって異なりますが、社内組織における役割は基本的に次の2つと考えてよいでしょう。

①研究開発組織の強化

技術顧問には、組織をどのように編成していくのか、また、社内規定について、相談と助言をする役割があります。そして、組織としての方向性が固まれば、どのような人材をどう採用するか、組織が確立すれば、組織内エンジニアの評価基準などのアドバイスを求めることもできます。

 

②プロダクトの品質向上

プロダクトの品質向上は、技術アドバイザーとして欠かせない役割です。会社として利益を生み出すためには、強化した組織のもと、プロダクトの品質向上を推し進めていかねばなりません。そのための的確なアドバイスこそ、技術顧問に求められるもっとも重要な役割の一つであると言ってもいいでしょう。

また、組織内の各エンジニアに対して技術指導し、エンジニア全体のスキルを高めることも、プロダクト品質の向上に欠かせません。技術的部分だけでなく、社内のエンジニア教育も技術顧問が担う重要な役割となります。

 

2)技術顧問を利用するメリット・デメリットを確認する

(1)技術顧問を利用するメリット

会社に技術顧問を入れるメリットは、大きく分けて4つ挙げられます。

①必要に応じて外注できる

新規事業をスタートさせる時など、専門技術に関する知見が必要になった場合に、必要なタイミング・期間で契約できるという点です。特にベンチャー企業の場合は、社内で賄えない新しい知見が必要になることが往々にしてあります。そういったケースにおいて、必要なタイミングに外部から技術アドバイザーを得られることは大きなメリットだと言えます。

②客観的なアドバイスを受けられる

外部からの参画であるため、社内の政治的事情にとらわれず客観性の高いアドバイスが期待できるという点です。プロパーのCTOの場合、社内政治に長けていればいるほど、自社を客観的に見ることが難しくなりがちです。社内の事情に詳しくない外部の人間だからこそ、より客観的なアドバイスが可能で、その客観性は大きな利点となります。

③社員のスキル向上が図れる

技術顧問の指導により社員のスキル向上が期待できるという点です。社内では十分でない専門技術と知識を社内に移植することも、技術顧問の役割の1つです。さらに、高いスキルと経験を備えた外部のエンジニアが社員教育に携わるわけですから、現時点での社員スキルを客観的に判断したうえでの技術指導となります。技術・知識にとどまらない、全体的なスキル向上が図れれば、企業力の大幅アップもあり得ます。

④事業拡大につながる可能性

厚い人脈をもった技術顧問を迎えることができれば、事業拡大につながる可能性もあります。国内外問わず、ビジネス経験が豊富な人物が技術顧問となれば、会社に新鮮な人脈とネットワークを与えてくれることが期待できます。

 

(2)技術顧問を利用するデメリット

技術顧問の外注で想定しておくべきデメリットとしては、次の2点です。

①契約期間中に契約が解除される可能性がある

委任契約では、各当事者がいつでもその契約を解除できます。(ただし、場合によっては損害賠償の請求が可能)

契約期間中であっても、技術顧問の意向によって、その契約を突如打ち切られる可能性を排除できないのはデメリットと言えます。そのような事態を避けるには、信頼関係を築きながら仕事を進めることが大切です。特に、契約内容は当事者同士で認識を合わせ、トラブル回避に努めましょう。

②技術顧問の人選を誤ると大きな痛手を被る可能性がある

技術顧問が有能であるかに加え、自社の事業に参画してもらうわけですから、社内風土にマッチするか、期待する支援を得られるかなど、採用の際には、適した人材であるかどうかをさまざまな角度から見極める必要があります。技術顧問を任せられるアドバイザーなのか、慎重に判断しなければいけません。

 

3.技術顧問の導入が成功した企業の例

実際に技術顧問を活用した企業が、どのような成果が得られたかを見ていきます。ここでは、3つの事例(①新製品開発、②品質管理、③生産管理)をご紹介します。

1)大手自動車部品メーカーの新製品開発

①背景と動機

新製品開発プロジェクトが発足。市場価値のある魅力的な製品を開発するには、ユーザーニーズを正確に捉える必要があった。経営層から求められた期間内で新製品開発を推進するため、該当領域に精通してアイデア豊富なプロフェッショナル人材を早急に取り込む必要があった。

②技術顧問の役割と実際に行った改善施策

技術顧問(元自動車メーカーの車両開発部リーダー経験者)がプロジェクトに参画。その技術顧問は、部品メーカーから製品と調達し、車両全体を設計・開発する立場から、自身が求めていた製品ニーズや業界における今後の新製品需要に関する情報を提供。プロジェクトの全容をヒアリングし、新製品開発の方針決定に携わるフェーズから試作品開発~評価まで、一貫してアドバイスを実施した。

③技術顧問導入後の業績

プロフェッショナル人材の活用で、スケジュールが遅れることなく新製品開発が進み、評価試験も無事終え、市場投入可能な新製品を開発することができた。

④利用した企業の声

新製品スペックも当初想定した以上のものに仕上がっており、クライアント企業の満足度も上々。評価も高く、並行して立ち上がった別プロジェクトへの参画も決定した。

 

2)化粧品什器メーカーの品質管理

①背景と動機 

大型案件受注が決まり、試作品を納品するも、納品先の約200 店舗で破損が発生。顧客企業からは、「このままでは依頼できない」と、具体的な対策案の提示と品質管理体制の改善を求められた。しかし、什器の製造は OEM 先に一任しており、社内には顧客企業の要求に応えられる人材がいなかった。

②技術顧問の役割と実際に行った改善施策

技術顧問(元外資系自動車部品メーカーの品質部部長経験者)がプロジェクトに参画。破損防止の対策案として、運搬時の衝撃に着目し、強度試験、落下試験を実施、梱包設計を見直した。また、 OEM 先を訪問し、品質管理体制のチェックを行い、破損の原因分析から必要と定めた複数の検査項目を追加し、製造を行わせた。

③導入効果と業績への影響

プロフェッショナル人材の活用で、破損の大幅削減を達成(再度試験的に納品した 20 店舗で破損ゼロ)。本受注を正式決定した。完成品の納品が始まった現在も破損件数は 1 ケタ台で収まっている。

④利用した企業の声

クライアント企業の満足度も高く、次案件も決定した。

 

3)特殊金属部品メーカーの生産管理

①背景と動機

収益は下降気味で、受注、設計、(OEM 先への)発注、(OEM仕入またはOEM先から)の製造、在庫、組立、納期、出荷等の業務プロセスが全く管理できておらず、コストが大幅増。各部門間やOEM先との連携が悪く、未出荷や納期遅延の問題が多発。将来的には新規事業投資も進めており、現状の課題を早く解決するためプロフェッショナル人材の活用に至った。

②技術顧問の役割と実際に行った改善施策

技術顧問(元大手複合機メーカーのSCM (サプライ・チェーン・マネジメント)部長経験者)がプロジェクトに参画。現場視察を実施し、各工程の詳細分析を行い、製造プロセスシートに落とし込み、課題を洗いだした。特に問題となっていた未出荷、納期遅れのパターン分けを行い、「組立スペース不足による作業効率の悪化」と「在庫不足によるタイムロスの頻発」を最重要課題として取り上げ改善を実施した。

③導入効果と業績への影響

スペースを有効活用するため、現場のレイアウト変更を実施。また、在庫不足の原因として社員間、またOEM先との連携の悪さを指摘し、情報ツールを用いて改善。その結果、最重要課題の2つが解決され、作業生産性は150%アップ 。未出荷、納期遅れも減少し、大幅な収益改善へと繋がった。

④利用した企業の声

クライアント企業の満足度も上々で、業績評価も高かった。

 

4.まとめ

コンサルティングサービスの意味合いが強い「技術顧問」ですが、技術顧問という呼び方は近年認知度が高まったものです。これからもコンサルティングサービス自体のニーズが縮小していくことはないでしょう。さらに、会社員を経て独立し、自身の専門を活かしてコンサルタント業務をフリーランスとして展開する技術者も増加傾向にあり、今後も企業における「技術顧問」の需要はますます増え続けていくことが予想されます。

技術顧問の採用を初めて検討することになり、不安を感じるのであれば、最初は顧問紹介サービスを活用するのがおすすめです。実際に技術顧問を採用した後は、仕事を進める中で技術顧問の特徴をしっかりと把握し、次回の採用時に役立てるなど、ケースに応じて採用方法を使い分けるとよいでしょう。

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