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2020.2.4 | 人事/バックオフィス

人材不足の原因とこれからの人手不足を乗り越える人材戦略とは

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1.人材不足の原因は?

1)日本の労働力人口について

平成29年労働力人口(15歳以上人口のうち、労働の意思と能力をもつ人の数)は6720万人(総務省統計局)で、このうち就業者6530万人(対前年65万人増)、完全失業者は190万人(同18万人減)となっています。

 

意外なことに日本の労働力人口は減っていない。減っていないどころか、過去最高の増加を示しています。

労働力人口は、平成元年には約6200万人でした。この頃はバブルの絶頂期の時でした。その後平成9年~10年にかけて約6800万人に達しピークを迎えました。その後は微減が続きましたが、そこから再び増加に転じ、以後一貫して増加しており、平成30年9月にはなんと6877万人に至りました。これは昭和28年以降の労働力調査の統計史上、最大の数字です。

 

総人口が減少する中、安倍政権発足以降6年半の間で、約500万人の就業者(シニア200万人増、専業主婦など女性170万人増など)が増加しました。この背景には、健康寿命(介護などを受けず日常生活を送れる期間)が延びていることが挙げられます。日本の労働者は「高齢になっても健康である」という前提で、高齢期に入った後も長期間にわたり働き続けようとする傾向が見られるようになりました。

 

その他幾つかの社会要因と重なり、今や日本の労働力人口は統計史上最高レベルになりました。この統計数値をそのまま見れば、人手不足という現状認識を疑わざるを得ません。しかし現状人手不足はどの業界でも起きています。どうして人手不足の声が上がり続けるのでしょうか。その謎を解くカギは、労働力の内訳にあります。注目するポイントは「世代」と「職種」です。

顕著な減少を示している部分があります。それは、35~44歳の労働力人口です。平成23年1582万人から平成29年1497万人となり6年間で約100万人減少しました。この傾向は人口減少の影響なので今後も下がり続けることになるでしょう。

この世代はいわば「働き盛り」の年代で、さまざまな労働の現場で中核となることが期待される層でした。この世代の労働力が減少するということは、「体力と一定の経験を兼ね備えた中堅のスペシャリスト」がいなくなることを意味します。

また、職種による差も見逃せません。先ほどに述べたように、日本の労働力人口増の要因となっているのは、シニアと女性の増加である。この層の労働者に若年・中年男性労働者ほどの体力はないから、いわゆる現場系の仕事を全面的に代替することは難しくなります。

このように、労働力人口自体は増えているが、職種によって求める人材像と大きなギャップが生じており、そのことが「人手不足感」を全体にもたらしていることが分かります。

 

2) 失業率と有効求人倍率の推移

令和元年10月の完全失業率は2.4%、完全失業者167万人(対前年同月1万人減)(総務省)でした。女性や高齢者の労働参加が進み、就業者数6787万人(対前年62万人増)と過去最高を更新しています。

 

また、令和元年10月有効求人倍率は1.57倍、前月並(厚生労働省)でした。全体としては堅調な雇用情勢が続くものの、米中貿易摩擦の影響で製造業などの求人が鈍く、このことが影響し求職者数も6カ月ぶりのマイナスとなりました。

求人倍率とはハローワークに申し込んだ求職者1人当たりの求人数で、10月は求人、求職者数ともに0.9%減となっています。

3) IT化の進行と雇用の関係について

英国オックスフォード大学オズボーン准教授の論文では、今後コンピューター技術によって自動化される業務を分析した結果、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事(702職種)が自動化されるリスクが高いという結論に至ったとされています。

 

単純な肉体労働や知識労働だけで完結するような仕事は、今後どんどんロボットやビッグデータによる情報分析やセンサーによる認識能力の組み合わせなどに取って代わられていくことは目に見えています。今後人間に求められてくるのは、肉体と知識労働の高度な組み合わせが必要な業務や、より創造性が必要とされる業務になってくるでしょう。

 

そんな中で「どうせすぐには変わらないでしょ」「自分はこのままでいいや」と考えている人は、それこそITの発展に伴う仕事の変化についていけず、淘汰されてしまう可能性があります。IT化によって職業は変化し、新しい仕事はどんどん生み出されていきます。今後を生きる我々には、その変化に気づきいつでも対応できる状態にしておくことが重要なことだと思います。

 

4) 人手不足はいつまで続くのか

現在の人手不足は今後も続くのでしょうか。また続くとすれば、今後どれほどの労働力不足が見込まれるのか。あるシンクタンクの未来予測では、「2025年に不足する労働力は583万人」という衝撃的な未来像が提示されています。

 

人手不足の状況を産業別に見てみると、最も労働力不足が深刻な産業は、情報通信・サービス業で482万人不足。次いで、卸売・小売業の188万人不足という見込みです。卸売・小売業では、アルバイトを確保できないという理由から閉鎖に追い込まれる店舗が見られるなど、既に人手不足が深刻化し、今後さらにその傾向は加速する見通しです。

 

少子高齢化で日本の労働者数が減少しているのは確かですが、だからといって人手不足が永続するわけでもありません。

人手不足から余剰に転じる可能性として一番大きいのは「景気後退」です。2000年代始めの日本はITバブル崩壊などで就職氷河期と言われ、2008年のリーマン・ショック後も人手が余っていました。人手不足と言われているのはつい最近、ここ数年だけです。

当たり前のことですが、景気が悪くなれば当然、人は余ります。もちろん、人口が持続的に減少しているので、景気が後退しても以前ほどすぐには人余りにはならないでしょうが、不況が長期化すればやがて余剰人員は増え、リストラや就職難がまた訪れることになるでしょう。

 

この中でも確実に言えるのは、雇用のミスマッチが拡大しているということです。デジタルテクノロジーの発展によって、産業構造が変化するスピードが早まり、必要とされる仕事と、必要でなくなる仕事のバラツキが拡大しています。グローバルな関係性の変化も、産業構造と雇用構造に影響を与えています。例えば、アジア(特にインド)が成長し中間層が増えることで、紙おむつや歯ブラシ、化粧品などの需要が急速に拡大し、日本企業の輸出も好調です。コモディティ化した商品でも、メーカーは人手不足に苦しんでいるわけです。

 

5) 人手不足が企業に与える影響

あるシンクタンクの調べでは、中小企業の約6割が人手不足になっているという調査があります。また、地域別にみて見ると、地方(北海道、甲信越・北陸など)の中小企業では、7割を超えるところも出ています。これは、地方は首都圏に比べて高齢化が速く進み、労働力の減少に繋がっていることが原因になっていると推測されます。

人手不足の中小企業では、技術の伝承が困難になったり、新規事業や事業拡大を断念したりした割合はそれぞれ2割を超え、経営への影響が深刻化してきました。また、従業員に与える影響としては、「生産性の低下」「時間外労働の増加や休暇取得数の減少」「人間関係や職場の雰囲気の悪化」といった職場への悪影響も起きてきています。

 

一方で、悪影響ばかりではなく、良い影響もあるようです。人手不足を打破しようと、多くの企業では離職者を予防するため労働環境整備の強化をしています。これにより、政府が推し進める「働き方改革」が後押しされ、今後、ワーク・ライフ・バランスを考慮した企業が増えてくるものと考えられます。

 

2.人手不足の解決策

こうした「超労働力不足時代」に、労働力不足を解消するアプローチには2通りの考え方があります。1つは一人一人の生産性を上げることで「企業が必要とする労働力の数を補う」という考え方です。そしてもう1つは女性・シニア・外国人就業者の労働参加を促すことによって「働き手の数を増やす」という考え方です。

 

1つ目の一人一人の生産性をあげるには業務の簡素化やIT化を進めることが必要になってきます。また非熟練の人材でも新たに入りやすい職場の形成が求められよう、高負担の業務を見直してワークシェアリング(仕事の分割・分かち合い)を推進することも必要です。

もし、会社内で仕事や負担が集中している人がいたら、その仕事の中身を分析して、他の人で代われそうな部分を抽出し分業を推進することで生産性をあげる必要があります。

2つ目の働き手を増やすためには、流動性の高い労働者を活用していく必要があります。

近年、増加傾向にある労働者層の多くは流動性が高い非正規労働者です。一見流動性が高いため、人材不足は解決していくように思えます。しかしなかなかうまくはいきません。なぜなら人手不足の職種にはやはりそうであるだけの理由があります。仕事が複雑多岐で覚えにくい、体力的についていけない、仕事をする上で何らかの資格が必要などといったものが具体的な例として挙げられます。

このようなギャップをなくすための工夫が必要になってきます。先ほどお話しした業務の簡素化やIT化はもちろん、流動性の高い非正規労働者を活用して、会社の中心としてバリバリ働くのは難しくても、その手伝いだったらできるという働き方を提案していく必要があります。こういった分業の工夫は過重労働の防止になるし、高齢労働者などの活躍の場を増やす上でもとても有意義です。

また、職場内でのスキルアップやキャリアアップの機会を増やし、事業者自らが求めているような人材を育成することも期待でき、キャリアアップを目指して非正規労働者から正規労働者へ転換することも可能になります。

 

2.1 人事制度の見直し

1)勤怠管理や休暇制度の整備

従業員が働きやすい環境を整えることで、従業員エンゲージメントを向上させて人材流出のリスクを抑えることができます。

業務内容の適正化や残業時間の削減、ワーク・ライフ・バランスの見直しなど、改善できる点は多く見つかるはずです。実際に従業員の意見を聴きつつ、労働環境の改善に努めてみてください。

 

2)福利厚生の充実

福利厚生を充実させることも大切です。賃金を上げることも人手不足の解決策になりますが、経営へ及ぼす影響も大きいです。一方で、福利厚生の見直しは比較的容易に行うことができます。

福利厚生は、従業員の満足度だけでなく、会社の魅力度にも直結します。人材流出を防ぐのに加えて、人材確保の面でも大きなメリットにつながります。

 

3)賃金の見直し

人手不足が長期的に続いている企業の共通点として、賃金水準の低さなど労働条件の劣悪さが指摘されています。つまり人手不足は、人口減少に起因するばかりではなく、企業の労働条件も関係しているわけです。

生産性を向上させる効果が最も高いとの見方から、欧州ではいち早く国を挙げた最低賃金の継続的な引き上げに取り組んでいます。今年5月、日本政府も遅ればせながら「最低賃金を1000円に引き上げる」目標を骨太方針に盛り込みました。実際、最低賃金と生産性には密接な相関関係があり、最低賃金が上がるほど生産性も向上するであろうと考えられています。

 

日本企業も人手不足への解決策として、さまざまな取り組みが行われています。「業務の効率化とITツール活用」「人材教育・配置転換」「正従業員登用、再雇用(特に熟練シニア、高度技能外国人)」「採用方法の工夫」などに積極的に取り組み、高い成果を上げています。

 

2.2 補助金の活用

1)IT導入補助金

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的として、経済産業省が2017年からはじめた制度です。各企業の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、デバイス、サービスなど)導入費用の半額を補助し、業務効率化・増収をサポートすることで、働き方改革の実現を目指します。

 

補助金の対象となるのは、決済システムや経理・会計システム、一元管理する顧客管理や車両管理システムといったITツール、ホームページなどの制作費用など多岐に渡ります。補助対象費用には、業務フローのシステム化やRPAなどによる高度な連携・自動化を促進するツールの導入も可能です。幅広い業種が対象になっており、過去の実績として、下記のようなツールの導入事例があります。

・介護業/保育業:顧客管理、原価管理、業務管理

・飲食業:決済システム、原価管理、業務管理、予約管理、財務・会計管理、給与管理

・運輸業:車両管理システム

・建設業:3次元設計ツール、販売管理、顧客管理 

 

それぞれITツールを導入した企業は業務が円滑になったり、残業時間がなくなったり、手書きによる転記ミスがなくなったりと、効果が現れているようです。

 

2)キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、パートタイム・アルバイト・契約従業員などの非正規労働者を、正社員に雇用したり、待遇を改善したときに支給される助成金です。なお、キャリアアップ助成金は非正規社員の処遇改善に適用されるもので、正社員の処遇改善は対象外となります。

 またキャリアアップ助成金には「生産性要件」と呼ばれるものがあります。生産性要件とは、生産性を向上させた企業が労働関係助成金を利用する場合、その助成額を割増しして受給できる制度です。

 

 その他にも、「トライアル雇用助成金」「中途採用支援助成金」「人材確保支援助成金」「特定求職者雇用開発助成金」などがあるので、特に中小企業では人手不足の解決策に活用するとよいでしょう。

 

3)両立支援など助成金

近年、「優秀な従業員が子育てを理由に辞めてしまった」「親の介護でこれまでどおりに働けない」といったように、家庭の事情でやむなく仕事を辞めなければならない方が増加してきました。人材難の時代、貴重な人材を囲い込むためには、企業の側で仕事と家庭を両立できる仕組みを提供することが求められます。

 

働きやすい職場を作ることは、従業員の離職を防止するだけでなく、魅力ある人材の採用にもつながります。仕事と家庭を両立するための職場づくりに役立つ「両立支援など助成金(両立支援関係)」制度です。

両立支援など助成金には、5つのコース(出世時両立支援、介護離職予防支援、再雇用者評価処遇、育児休業など支援、女性活躍加速化)が用意されています。仕事と家庭の両立が求められるシチュエーションは各家庭によって異なります。幼い子どもを育てるのと、高齢の親の介護をするのとでは当然仕事と家庭の比重も異なってきますから、それぞれの環境に合わせてコースを選択することができます。

 

このように単に助成金を受け取るための環境を整えるだけでなく、本当の意味で仕事と家庭の両立が出来る環境を従業員に提供できるか。企業の側の「本気度」が問われる助成金といえるでしょう。

 

3.実際の各業界での人手不足解決の事例

1)事例①

ある金属加工業T社(従業員数40名)では、総務部の中に人事機能があり中途採用や外国人採用は、社長が自ら地銀・中小企業支援センターなどのネットワークを活用し、人材との接点づくりを行い、優秀な人材、即戦力を確保しています。また、人材多様性の視点から、高校・高専の新卒、外国人留学生、障害者の雇用も積極的に取り組んでいます。

 

更に、人材不足の解決対策の一貫として、人事評価制度の刷新を行いました。20年前に作成された人事関連諸制度は旧態依然で全く機能していませんでした。今回、「安定高収益」「生産性2倍」「働きがいと自己成長」「働き方改革」を目標にかかげ、新人事制度の設計とトライアルを行いました。具体的には、職能別賃金テーブル(1-80号棒)の設定、自己申告制ありきの目標管理の導入、インセンティブ制度(多能工手当、資格取得や自己啓発促進)などを機軸に、最新の労働行政に適応し、会社と従業員が一体化、双方が企業成長に貢献できる人事評価制度を作成しました。

 

2)事例②

新卒採用が難航していた電子回路基板K社は、若手・男性という採用ターゲットを見直しました。さらに女性の積極採用を始め、働き手を確保できるように改善。さらに、育児休業や時短勤務を推奨し、女性が働きやすい環境を整備しました。

その結果、男女問わず若手労働力の確保が可能になり、ライフイベントに伴う離職者も減少し従業員の満足度も上がり、定着率の向上につながっています。

 

4.まとめ

リーマン・ショック以降、会社の規模に限らず日本企業は「人手不足」が難題といわれてきました。ただ、人手不足の深刻度合いは業種によって異なります。世の中の傾向として人々は金融・情報などのホワイトカラーの仕事を求め、流通業・建設業などのブルーカラーの仕事は敬遠されがちなようです。とくに人手不足が深刻といわれる業種では、非正規労働者が多く、賃金水準が非常に低いなど労働条件が過酷であるといった共通点がありました。

 

企業における人材不足解消の鍵は、まず、生産性を高める必要があります。そのために徹底的な業務改善・改革(ITやロボットの活用含め)を進める必要があります。その上で会社として従業員の方に気持ちよく働いてもらえる職場を作るため、「賃金の引き上げなどの労働条件の改善」「働きやすい職場づくり」、そして、「働く女性やシニアを増やす」などが大事なポイントです。

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